【書き起こしテキスト】インクルーシブなサービス改善~続・当事者の声を取り込む~

(中野)
こんにちは ヤフーの中野と申します

このセッションでは
「インクルーシブなサービス改善ーー

~続・当事者の声を取り込む~」と題して
弊社の取り組みを紹介します

初めに自己紹介です 中野信といいます

ヤフーで 広告事業のUIや
サイトのデザインをしています

それと兼任でーー

全社のUIガイドライン策定や
運用をしていてーー

その活動の一環で サービスの
アクセシビリティ向上を行っています

また 家庭には3歳と1歳の娘がいます

コロナ禍の影響で 3月から
弊社でもテレワークを行っていますが

大変な状況である反面ーー

子供と接する機会が増えたのは
良かったです

本題です
今回 2つの取り組みを紹介します

1つ目は 昨年も紹介しましたがーー

障害当事者による
ユーザビリティテストをーー

継続して行っている取り組みについて
話をします

個別の検証結果やコメントと合わせてーー

続けて行うことによる
変化や効果を紹介します

2つ目は 社外のベンダーにーー

アプリのアクセシビリティ検証を
行ってもらうことでーー

広く経常的なアクセシビリティ検証を
行っている取り組みについて話をします

図で表すと このようになります

ベンダーによる検証は
多くのサービスで網羅的に行うことでーー

明らかな問題を見つけたり
全体的な問題の程度や傾向を捉えます

そして 当事者による
ユーザビリティテストはーー

サービス個別の
要件や条件を踏まえたうえでーー

より具体的な確認や検証を行います

それぞれの取り組みについて 話をします

まずは1つ目 “障害当事者による
ユーザビリティテスト”についてです

背景について説明します

この取り組みは 3つの組織の関係者が
連携して できた取り組みです

私が所属する“アクセシビリティ推進
ワーキンググループ”はーー

アクセシビリティをメインとした
サービスの品質向上を目指し

今回 紹介する
Yahoo!天気・災害のUIデザイナーはーー

サービスをいかに ユーザーに
便利 かつ 快適に使ってもらうかに注力し

障害当事者が 障害を個性と捉えーー

生かせる社内風土を作るという
目的で作られたーー

ノーマライゼーションプロジェクトはーー

自分たちの個性をいかに
サービスに貢献できるか検討していました

それら3者の思いが重なることで
今回 紹介するーー

障害当事者による
ユーザビリティテストが実現しました

取り組みの歴史です

障害当事者による
ユーザビリティテストはーー

去年のアクセシビリティの祭典でも
紹介しましたがーー

その後も継続して テストを行っています

2018年のYahoo!天気・災害の
リニューアルの際に行ったーー

天気図のユーザビリティテスト

2019年には
大雨ハザードマップ機能とーー

リアルタイム震度機能の
ユーザビリティテストを行いました

そして 今年 2020年にはーー

各種天気情報を載せる
地図プラットフォームが変更されてーー

地図面が大きく変わったためーー

そちらに合わせた視認性のテストを
行いました

去年 紹介した
天気図リニューアルのスライドです

このような視認性に関するテストと
返しを継続的に行っています

先ほど
取り組みの背景でも説明しましたが

登場する組織・人物は この3者です

ノーマライゼーションプロジェクト
Yahoo!天気・災害のUIデザインチーム

アクセシビリティ推進
ワーキンググループです

プロセスにおける役割分担です

サービスで
テストに要望が挙がったあとにーー

3者で
テストの要件を確認・定義したのちーー

ノーマライゼーションプロジェクトで
テスターの募集を行いーー

アクセシビリティ推進
ワーキンググループでーー

テスト設計を行います

それらを3者で確認したあと
ユーザビリティテストを行います

そこで挙がった課題や改善点をーー

デザインチームで整理し
サービス改善を行います

なお これは偶然だったのですがーー

関係者が
首都圏・大阪・新潟在住だったためーー

基本的には2拠点
場合によっては3拠点をーー

ビデオ通話などで
コミュニケーションを取ってーー

テストを行っていました

そのため
今のようなテレワークになってもーー

それほど違和感なく
継続してテストができています

それでは 具体的な事例を1つ紹介します

2019年に行ったーー

大雨ハザードマップという機能の
ユーザビリティテストです

当時 気象庁が
5段階のレベルに分類したーー

大雨警戒レベルの導入やーー

災害リスクの認知度促進を策定してーー

ヤフーも 6月から
情報提供を開始したものになります

リリース前は このようなUIでした

この大雨災害レベルマップではーー

地図上に メッシュ状の災害レベルを
透過した色で重ねて表現しています

それに加えて 河川の危険度を
色で分けた実線で表現しています

これを社内のロービジョンの方2名に
テストしてもらいました

実際にテストをしてもらったときの
コメントの一部です

“色の境界は分からないがーー”

“違うことは
なんとなく分かる”というコメントやーー

“異なる警戒レベルの色の区別が
つかない”というコメントがありました

また 別の方がテストを行った際にはーー

“河川の色が分からない”という
コメントやーー

“地図上の
危険領域の透過度が低いほどーー”

“ストレスなく見える”という
コメントがありました

それらのコメントを踏まえてーー

リリース時には
このように改善がされました

画面の左側がテスト時
右側がリリース時のUIです

テスト時にはーー

メッシュを 下の地図や地名が
読める透過度にしていました

しかし
“道路・線路・海岸線などが分かればーー”

“地形の見当がつく”という
コメントを受けてーー

大幅に透過度を下げました

また 河川の色も
大きく明度差をつけた配色にすることで

どの色で分類しているかを
区別できるようにしました

そして
このテストを通して得られた価値です

まずは
ノーマライゼーションプロジェクトがーー

得た価値です

テストに参加した障害当事者がーー

サービス開発や改善に
貢献しているという実感を持てたこと

自分が行っているテストがーー

実際にサービスを使っている
数十万人・数百万人のユーザーにーー

つながっていることを
感じられたことなどが挙げられます

次に デザイナーの意識変化についてです

視覚障害が特別なものだと思っていたが
実際に会って 話を聞いたりーー

色覚障害の方の割合を
知ったりすることでーー

身近な課題であると
感じられるようになりました

そして
ガイドラインに準拠するだけではーー

実際に ユーザーに どのように
使ってもらえるか分からなかったーー

自分のアウトプットに対してーー

自信を持って
リリースできるようになりました

このように 障害当事者による
ユーザビリティテストをーー

継続して行うことでーー

純粋な サービスの
アクセシビリティだけではなくーー

意識づけやモチベーションの向上といった
新たな価値が生まれました

続けて 2つ目の取り組みのーー

“アプリの
アクセシビリティ検証”についてです

行ったことは2つです

1つは スマホアプリを
リリースしたあとに行っているーー

ユーザビリティチェックにーー

アクセシビリティの
チェック項目を追加しました

そして そのテストを
外部のベンダーが行っているのですが

ベンダーは アクセシビリティの
チェックが専門ではないためーー

事前に テスト方法やポイントを伝えて
テストしてもらうようにしました

実際の結果です

これは iPhone用 Yahoo!路線アプリで
見つかった事例です

モーダルウィンドウ内の見出しとーー

非活性のアイコンの
コントラスト比が低いためーー

文字が読みづらい状況になっています

このようなチェックを経常的に行うことで
アクセシビリティの向上を行っています

そして
チェックを行ってもらっているーー

ベンダーと共有をしています

チェック項目を基に行ってもらっている
ベンダーのチェック結果をーー

社内でダブルチェックし
揺れや解釈の違いを平均化しています

そして ベンダーに テスト項目や
検証方法についてヒアリングを行いーー

テストへフィードバックしています

以上が2つ目の取り組み
アプリのアクセシビリティ検証となります

最後に これらの取り組みを踏まえてーー

我々は今後
どうしていくべきかについて話をします

ヤフーが目指す先として
“UPDATE JAPAN”

“情報技術のチカラで、 日本を
もっと便利に。”というミッションとーー

“世界で一番、 便利な国へ”という
ビジョンを掲げています

弊社は インターネットを使って
サービス提供している会社なのでーー

そこに
いかに情報を載せるかということとーー

その情報を使って
いかにユーザーの生活がーー

便利にできるかということに
力を注いでいる会社です

よって
情報アクセシビリティに対してもーー

可能なかぎり 高めたいという思いで
日々 開発を行っています

そのような中
昨今の新型コロナウイルスの影響でーー

外出ができない日々が続いていますが

皆さん どのように
日常生活を行っていますでしょうか

ふだんより
インターネットを使ったサービスをーー

使う機会が増えていると思いますのでーー

こういうときだからこそーー

当事者として 不便や使えないモノ・事に
声を上げてほしいと考えています

ウェブサービス アプリの改善には
ユーザーの声が いちばん響きますし

ポジティブ ネガティブ
どちらでも生の声を聞けることがーー

開発者の励みになります

そして 弊社も
ずっと道半ばの状況が続いていますがーー

少しずつでもアクセシビリティの向上を
目指していきたいと考えています

以上で ヤフーのセッション
「インクルーシブなサービス改善ーー

~続・当事者の声を取り込む~」を
終わります

ご清聴ありがとうございました