【書き起こしテキスト】メモメール

(板垣)それでは
次にお送りするセッションはーー

“障害者のニーズから生まれた
サービス・プロダクトのご紹介”

“わたし達の未来をつくる
アイデアソン・ハッカソン”

…というセッションを
お送りさせていただきます

“わたし達の未来をつくる
アイデアソン・ハッカソン”とはーー

NPO法人 アイ・コラボレーション神戸主催の
イベントです

2018年の開催時に
有限会社 時代工房さんがーー

素晴らしいイメージビデオを
作ってくださったのでーー

まずは ご覧ください

わたし達の未来をつくる
アイデアソン・ハッカソンの流れとしては

障害者のニーズを元に
企業や技術者の方々の募集を行います

当事者・企業・技術者による
アイデアソン・ハッカソンを開催後ーー

3~4か月後のレビュー
10か月後の最終報告会とーー

約10か月で製品化を目指します

この2年間に3回の
アイデアソン・ハッカソンを開催して

合計17のチームの方々が
発表してくださいました

初年度の2018年からは
3チームのプロダクトが実現

そのうち 本日は 2チームを
ご紹介させていただきます

まずは1チーム目
最優秀賞「メモメール」チームから

園さん 持田さん 池内さんです

製品やサービスの提供を
実現した参加チームをーー

2チーム ご紹介します

まずは1チーム目
メモメールのチームです

園さん どうぞ

(園)こんにちは 園と申します
よろしくお願いします

(板垣)よろしくお願いします

では あなたのお名前と
障害を教えてください

(園)はい 園順一です
視覚障害で 身障手帳では1級です

約20年前からの中途失明者です

以上です

(板垣)はい
あなたのニーズを教えてください

(園)はい やはり見えなくなってーー

いろいろ できなくなることも
あるんですけれども

その中で
ちょっとした思いついたこととかーー

何か簡単なことをメモを取るということが
なかなか難しいんです

パソコンとか そういう物があれば
簡単に いつでも できるんですが

常に 家にいるときに パソコンを
持ち歩くわけでもないので

ちょうど そのころ 我が家でーー

スマートスピーカーを
たくさん導入しましたので

これを なんとか活用できないかなと

音声でのメモを取ることは
標準的に できてたんですけどもーー

それでは やっぱり探したりとかーー

あとで見直す・読み直すということが
大変なのでーー

テキストファイルに
なってるほうがいいなという…

その中で考えたのが
話した内容が メモとしてメールでーー

自分の指定したアドレスに
届くようにすることによってーー

いつでも見直しとかができると
いうことを思いつきました

長い文章じゃなくて
ちょっとした思いつきとかーー

例えば テレビに出てきた商品名とか

ほんの1行程度のことで
十分だと思いました

なおかつ このことは
見えてる方 晴眼者であってもーー

例えば 夜 寝ているときにーー

あした やらんなんことを
急に思い出したとかーー

そんなときにも 枕元に
スマートスピーカーがありーー

“メモメール”に話しかければ 翌日
メールでチェックできるということで

特に障害者だけじゃなくて
いろんな方に使えるニーズもーー

あるんじゃないかなということで
考えつきました

以上です

(板垣)
チームで開発した製品は何ですか?

(園)名前は“メモメール”です

スマートスピーカーを利用して
メモを取ったものがーー

メールで届くようにしているものです

(板垣)はい
園さん ありがとうございます

まずは 改めて自己紹介とーー

チームでの それぞれの
ご担当について お願いします

じゃ まず園さんから

(園)はい 園順一と申します
視覚障害者です

身体障害者手帳は1級で
約20年前に不自由になりました

私の メモメールのチームで
担当したことは アイデアですね

自分にとって必要なものを
いろいろと考え出してーー

そのいくつかのテーマの中で
皆さんと議論してーー

メモメールに落ち着きました

以上です

(板垣)はい
じゃ 次に 持田さん お願いします

(持田)はい クラスメソッドの
CX事業本部という所にーー

所属しております持田と申します
よろしくお願いします

20年ぐらい前から個人的に
あとは 途中からは業務でーー

ウェブアクセシビリティに
興味を持って活動してまして

業務では コンサルティングとかーー

ウェブサイトの試験なんかも
行っていますし

また いくつかの雑誌とか
書籍の執筆とかーー

あとは 講演なんかも
させていただいてきました

アクセシビリティの祭典さんにも
以前から お世話になっております

アイデアソン・ハッカソンが
開催された当時はーー

私のほうは Alexaをはじめとしたーー

パブリックなクラウドの
AIサービスを用いてーー

お客さまの課題を解決するとこが
ミッションでしたので

今回 アイデアソン・ハッカソンでーー

スマートスピーカーを
テーマにしたいということでーー

参加させていただきました 以上です

(板垣)ありがとうございます
じゃ 次に 池内さん お願いします

(池内)はい 池内といいます

TOAという
業務用音響機器のメーカーでーー

開発の仕事をしています

趣味で スマートスピーカーの
アプリの開発をしてまして

Alexaとか Googleアシスタントとか
LINEのClova

この3種類 メジャーなところは
全部 開発経験しています

コンテスト出したりもしててーー

LINEのコンテストでは
ファイナリスト進出したりとかーー

Alexaは 小さなコンテストで
優勝したりとかもしてーー

頑張っております

チーム内の担当は
Googleアシスタント版の開発をしました

実は 私は ハッカソンの時点では
別のチームに参加してました

そっちでは
あんまり出番なかったんですけど

ハッカソンのあとで
このチームに参加したという形です

Googleアシスタント版の開発はーー

持田さんが Alexa版を
リリースしたあとで 着手した形で

大体 もう作りたいものというのは
決まってたんですけど

細かい部分
例えば 会話の言い回しとかーー

そういう所も わりと好きなように
作らせてもらった形です

以上です

(板垣)ありがとうございます
いや ほんま すごいチームですね

はい ありがとうございます

じゃ ここからは
アイデアソン・ハッカソンでーー

メモメールのチームの方が
発表された試作発表動画のーー

ダイジェスト動画を流させてもらいます

(園)Alexa メモメール開いて

(Alexa)メモメールへ ようこそ

「何々とメモして」と言えば
メモが記録されます

メモを読み上げるには
「メモを教えて」と発話します

それでは 指示をどうぞ

(園)はい “ただいま 発表会で
メモメールのデモをしています”

…とメモする

(Alexa)“はい ただいま 発表会で
メモメールの電話をしています”を

メモに残しました 何か指示をどうぞ

(園)終了

「デモをしてます」が
「電話」になりましたけども

こないだも ある所で同じことで…

京都ライトハウスで
やってたんですけどーー

「ただいま 京都ライトハウスで
講演をしています」って言うたらーー

「ただいま 京都ライトハウスで
恋をしています」って

(笑い声)

そういうことが 当然のことながら
音声認識の関係で ありますけども

きっかけがあれば すぐ
分かるんではないかと思います

次に Google Home版です

ねえ Google
メモメールにつないで

(Googleアシスタント)はい
メモメールのテストバージョンです

メモメールへ ようこそ

「何々とメモして」 または
「メモを読み上げて」と言ってください

(園)「今回は Google Homeで
デモをしてます」とメモして

(Googleアシスタント)「今回は
Google Homeでデモしてます」

…と メモに記録しました

メモの内容を メールで送信しました
メモメールを終了します

(園)ということで 実際にメールが
届いてるか ちょっと確認します

(話し声)

(園)いや 音声で

(未読メールの読み上げ音声)

(未読メールの読み上げ音声)

(読み上げ音声)
Alexaスキル メモメールで
以下のメモが記録されました

Alexaスキル メモメールで
以下のメモが記録されました

「はい ただいま 発表会で
メモメールの電話をしています」

(園)という具合にーー

メールが届いてることが
確認できたかと思います

確かに Amazon Echoと
Google Homeでーー

多少 ユーザーインターフェースが
異なっておったりしますが

そこら辺は 今後
調整していきたいと思っています

私どもの発表は以上です

(小川)ありがとうございました
(拍手)

(板垣)
メモメールは もうリリースされてると
いうことなんですけども

皆さんが アイデアソン・ハッカソンに
ご参加いただいてーー

リリースまでの中でーー

苦労されたお話であったりとか
楽しかったお話であったりとかーー

そういうのを
お聞かせいただければと思います

まずは持田さん お願いします

(持田)私は Alexaスキルの
開発を担当したんですけどもーー

ハッカソンの当日のときは
園さんのアイデアを基にーー

Alexaで どうやって
実現できるかというところをーー

仕様に落とし込んでーー

実際に試作するってところまで
持っていきました

「こういうことであれば
Alexaは できるんだけどもーー

どうでしょうか」と
園さんとディスカッションしてーー

作っていきました

試作段階のときのAlexaの音声とかを
園さんに聞いていただいてーー

普通に作ると そのまま
速く しゃべってしまうんだけども

文とか単語の間の 間を取るとか
どのぐらい取るかみたいなところをーー

微妙な調整を聞いていただいて
重ねていきました

ハッカソンのときは そこまでで
それ以降に実際リリースをするときーー

Alexaのスキルのほうに
Amazonの審査が必要になるんですけどもーー

今回 Alexaのスキルのほうから
メールを送るという仕様があるのでーー

プライバシーポリシーを考えたりとかーー

ユーザーの方の個人情報を
保護するみたいな所でーー

いろいろとリジェクトが
何回か あったんですけどもーー

園さんのご協力をいただいて
無事 リリースすることができました

はい 以上です

(板垣)ありがとうございます
じゃ 次に 池内さん お願いします

(池内)
はい 私は2点あるんですけれど

1つ目は技術的な所です

私は Google版の担当をしましたけど

Alexa版は既にあったんで
それを移植するっていう形でーー

普通は それって
そんな難しい話じゃないんでーー

私の仕事は あんまりないんかなと
思われそうなんですけど

メモメールの場合は
何かと 仕様とか構成がーー

Alexa版とGoogleで
違う所が多くあります

具体的には ユーザーの
アカウント管理するとかーー

メモの内容を クラウド上に
保存するっていう所がーー

Alexa版と別の作りにする必要があったので
新たに開発する必要がありました

この辺りの開発は スマートスピーカーの
アプリ開発の中でも わりと複雑なほうで

私 経験なくて
結構 時間かかってしまいました

これは Google版のリリースが
遅れた言い訳なんですけど

そういう技術的な所が1点目ですね

2点目は やりたいことは
いろいろあったけどーー

機能を
泣く泣く絞ったっていう所です

去年のアクセシビリティの祭典で
展示させてもらってーー

いろんな人から
いろんな意見を聞くことができて

そこから こんな機能もあるといいかなって
いうアイデアが いろいろ思いつき

それを盛り込みたかったんですが
その辺り やりだすとーー

キリがないというか 終わらないのでーー

機能を最低限に絞って
リリースしたという形ですね

開発者としては やりたい気持ちを
抑えるっていうのをーー

苦労したっていうのが 2点目になります

以上です

(板垣)ありがとうございます

次に 園さんに
お聞きしたいんですけどもーー

メモメールをリリースして
反響は いかがでしょうか

(園)そうですね
意外に驚きというか反響があって

しばらくしたら
Amazonから連絡がありましてーー

優秀なスキルだから
お金をあげるっていうようなーー

連絡もありまして
驚いたぐらいなので…

もちろん 利用する人は
無償で使えるんですけども

Amazonに
貢献したということでしょうかね

ほんの僅かですけども
お金をもらいました

また 最近ですけど
雑誌が取り上げてくれたりーー

スマートスピーカーの実践でも
評価されていますしーー

Amazon Echoのほうはーー

レビューが205件あって

評価も 3.5ということで
皆さん それなりにーー

結構 使っていただいてるんでは
ないかなと思っております

最初にも言いましたけどもーー

特に障害者用という意味で
作ったわけでもないのでーー

一般の方にもーー

結構 使っていただいてるんじゃ
ないかなという気がしております

はい 以上です

(板垣)ありがとうございます

これで最後になるんですけどもーー

お3方に“わたし達の未来をつくる
アイデアソン・ハッカソン”にーー

ご参加いただいた
感想であったりとかーー

今年はオンラインなんですけど
それを見られてる方ーー

開発者 当事者であったり
そういう方たちにーー

伝えたいことなどがあれば
お願いできればなと思います

じゃ まずは園さんから お願いします

(園)はい 今回
アイデアソン・ハッカソンってーー

僕は 実は 初体験というか
そういう名前自体も知らなくてーー

どういうものかなっていう感じで
参加しました

参加するときに いろいろニーズが
あればと聞いておりましたのでーー

いくつかのテーマを持って参加しました

確かに こういうイベントはーー

大変いいことだと思ってます

いろんな人との
連携もできましたしーー

具体的には リリースできて
使ってもいますのでーー

是非 こういう活動は 今後も
続けていっていただきたいと思います

以上です

(板垣)ありがとうございます
じゃ 次に 持田さん お願いします

(持田)はい

昔から 障害当事者向けの
支援技術というのはーー

結構 障害のある方向け専用に
開発されてーー

販売されることが多かったと思うんですね

それがゆえに
ものすごい高額なものになってしまって

入手のハードルが高いってことが
あったと思うんですけども

今回のスマートスピーカーが
すごくいい例でーー

もともと 一般のユーザー向けに
作られた物でーー

非常に低価格な製品なんだけども
結果的に 使い方によってはーー

障害当事者の方の生活を すごく
便利にする側面が出てきたのはーー

初めてなんじゃないかなと思います

そういう意味での使い方ってのは
結構 注目なんじゃないかなと思います

なので いろんな技術を
ウオッチしていってーー

それが 一般大衆にも
もちろん使えるんだけどもーー

これは もしかしたら
障害者の方が こうやるとーー

便利なんじゃないかっていう所に
関してはーー

技術の状況を見ながら
あとは園さんとかーー

いろんな当事者の方の
ご意見を伺いながらーー

開発できればなというふうに思っています

以上です

(板垣)ありがとうございます
じゃ 最後 池内さん お願いします

(池内)はい

今回 開発 参加してみて
ホントに面白くてーー

貴重な機会やったなと思っています

私の場合 スマートスピーカーの
アプリを作るっていうのはーー

以前から やってきてーー

スマートスピーカーみたいな
音声インターフェースのーー

メリットのひとつとしてーー

よく視覚障害者の人とか
身体障害者の人にとってーー

特に便利ですよっていうのは
よく聞く話やったんですね

ですけど 実際に 当事者の話って
聞いたことなかったしーー

そういう話を聞く機会を
どうやったら得られるのかもーー

分かんなかったんですね

今回 実際 園さんと一緒に
開発するっていう経験ができてーー

開発したアプリの話
メモメールの話以外もーー

園さんと いろいろ話ができて
すごく良かったなと思っています

例えば 今回のハッカソンの
発表会に行くときにーー

待ち合わせて一緒に
行くとかいうのもありますしーー

それ以外にも
スマートスピーカーの勉強会にーー

園さんと一緒に
行ったりとかもできました

そういうときって 園さんが
白杖を持って移動するというのをーー

一緒に経験するっていうだけでもーー

私としては 今までと違う視点で
世界を見られる機会も得られました

いろいろ
私のアイデアも聞いてもらってーー

意見もらったりとか
そういう面もありました

そういう意味で
今回のメモメールに限らずーー

すごく いい経験ができたかなと
思っています

…ということで 開発者の人はーー

こういう縁が遠かった人も
多いと思うんですけど

すごく気軽に参加しやすくて
良かったので オススメです

(笑い声)

「是非」っていうことで
はい 以上です

(板垣)ありがとうございます

(持田・池内)
ありがとうございました

(板垣)
ありがとうございます すいません

以上 メモメールチームの発表でした

メモメールは 既に公開されていてーー

AmazonとGoogleアシスタントで
皆さま ご利用可能となっております

アクセシビリティの祭典ウェブサイトからーー

リンクを貼っておりますので
是非 ご利用ください