アクセシビリティQ&Aを公開しました

更新情報

皆さまからいただいたご質問にご登壇者の方から回答をいただきました。

アクセシビリティQ&A一覧

ご質問1

WEBサイトの制作で文字を強調する目的で、記号を入れてはいけないという事で、CSSで設定をするようにしています。

(例)
●会社案内
↑この丸印 ●★[ ]など

  • 記号の中で※(米印)は使っていいのか?
  • 使っていい記号があれば教えてください。

ご回答

記号を使用すること自体は問題ありません。ただ問題なのは、記号を装飾的に使うことで、意味的なマークアップをしなくなってしまう恐れがあることです。
たとえば、見出しは「●会社案内」と装飾記号をつけるのではなく、<h1>会社案内</h1> と意味的にマークアップしてCSSでスタイリングましょう。箇条書きは、各項目の頭に「・」と装飾記号を付ける代わりに、<ul><li>要素でマークアップしましょう。…ということが大事です。

記号が装飾以上の意味を持つ場合は、記号を使っても大丈夫です。たとえば、文章の中に注釈を加える記号だったり、フォームの入力必須項目のアスタリスク記号だったり、は問題ありません。(ただし、フォーム入力必須項目にアスタリスクを使う場合、そのアスタリスクが「必須」を意味することを、別途テキストで記述する必要はありますが。)

(回答者:土屋さん)

ご質問2

tableタグを使うとき、目で見えていない方の為に必ず<caption>を入れるようにしていますが、それであればソースにあれば目に見えて表示をしなくても良いのか?Altタグみたいな扱い?正しいことを教えてください。

ご回答

テーブルの <caption> 要素は、視覚的にもテーブルの見出しとして表示されます。
ご参考) HTMLリファレンス | <caption> - テーブルの見出し

おっしゃるように、目に見えて表示されるべき情報なので、敢えてCSS で <caption> 要素を視覚的に隠すような処理はしないように (そのような処理を見かけたら「こらっ!」と言うように) しましょう。

(回答者:土屋さん)

ご質問3

アクセシブルなページを作る為には文書の構造が分かるようにマークアップする事が必要ですが、よく悩む形態があります。 一つの段落の中にリストが混在した文章です。(次に例を挙げます。)

○○○○には、次の
●(リストa)
●(リストb)
などがあります。
(例は以上です。)

このような場合、本当はこれら4行の段落全体をp要素で囲み、その中のリスト部分をul要素とli要素で記述したいのですが、それは文法的にも不可能です。 これまでは見た目のみしか気にしてなかったので、本文1行目と4行目を個別にp要素でマークアップするなどしていました。 ですがこれでは不自然な段落ができてしまいます。
皆さんがマークアップするとすれば、どのようにされるでしょうか? 極力依頼される原稿のまま掲載したいのですが、「○○○○には、次の2点などがあります。」に改変した上でリスト項目を表示するほかないのでしょうか?

ご回答

悩ましいですね。私もブログ記事を書く際に、悩んでいます。
私の場合、こんな感じにすることが多いです。

<p>○○○○には:</p>
<ul>
<li>(リストa)</li>
<li>(リストb)</li>
</ul>
<p>…などがあります。</p>

(箇条書きの前の段落では、以降も文が続くことを示すために、コロンなどで止める、箇条書きの後の段落では、以前からの続きであることを示すために、三点リーダーから始める、という具合です。)
または、文面を編集して、以下のようにします。文面の意図が変わらなければ、むしろこのほうがよいと思います。

<p>○○○○には、以下のようなものがあります。</p>
<ul>
<li>(リストa)</li>
<li>(リストb)</li>
</ul>

以上、ご参考になれば幸いです。

(回答者:土屋さん)

ご質問4

土屋一彦様にご質問させていただければと思います。大変ためになるお話をありがとうございました。セッションの中で、東京都が条例化した件、お恥ずかしながら初耳でした。わたくし仕事で東京の企業のサイトを作ったりもしておりますので、ぜひ知っておきたいと思う点なのですが…。実際問題現状で、どの程度の対応が義務として必要になってくるのでしょうか?また、実際その基準に満たないということでの処罰もしくは対処が必要になった事例などはこれまでにあるのでしょうか?

ご回答

障害者差別解消法の中には、具体的な対応基準というのは書かれていないので、ウェブサイトであれば「JIS X8341-3」(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ) を具体的な基準とするのがよいと思います。
(この「JIS X8341-3」の内容は、セッションの中でお話した「WCAG (Web Content Accessibility Guidelines)」のバージョン2.0をベースにしているので、「JIS X8341-3」のご購入の前に、WCAG 2.0 の日本語訳 https://waic.jp/docs/WCAG20/Overview.html をご参照いただければと思います。なお、セッションの中では WCAG のバージョン 2.1 のご紹介をさせていただきましたが、こちらは現時点ではまだ「JIS X8341-3」には反映されていません。)

対応不備による処罰については具体的な事例というのは聞いたことがないのですが、障害当事者がサイト運営主体 (企業など) にクレームや改善要望があった際、実現可能な範囲で、対応する必要があります (合理的配慮といいます)。合理的配慮がなされていない (と当事者が訴えた) 場合、事業者の事業を担当する大臣が当該事業者に対し、報告を求めたり、助言・指導、勧告を行うといった行政措置を行うことができることになっています。

(回答者:土屋さん)

ご質問5

ウェブアクセシビリティの必要性や工数をどのようにクライアントに伝えられているのでしょうか?

ご回答

ウェブサイト運営をされている組織によって、また担当者の立場によって、アクセシビリティのとらえかた、印象は様々なので、そのときどきでアプローチを変えていますが、たとえば以下の切り口でお伝えすることが多いです。

  • ビジネスの「機会損失」の観点から
  • 企業の社会的責任(CSR、最近ですとSDGsと絡めることもあります)の観点から
  • (グローバル企業であれば) 各国の法規制の観点から
  • ウェブサイトの「PL (Product Liability : 製造物責任)」に相当するという観点から

工数 (コスト) については、サイト規模によって、またアクセシビリティの必要性をどの程度認識いただいているかによって、大きく変わってくるので難しいところですが、まずは車輪を回し始めることが重要なので、少ないコストで手軽に改善できることを一緒に考えることを心がけています。

(回答者:土屋さん)

ご質問6

日本のアクセシビリティの法律が他国に比べて整っていないとおっしゃっていましたが、要因は何なのでしょうか?
またこの問題を後押しする為に私たちにできることはありますか?(ミツエーリンクスの木達さんにお聞きしたいです。)

ご回答

整っていない、といいますか、厳しくない、という趣旨のお話をさせていただきました。具体的には、障害者差別解消法には罰則が無いというお話をさせていただいたかと思います。同法には、実際には第六章で罰則が定義されてはいるのですけど、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け> - 内閣府の「Q7.企業などがこの法律に違反した場合、罰則が課せられるのでしょうか。」にある通り、罰則の課せられる条件は緩く、それゆえ「実質的には」罰則が無いに等しいと考え、そう発言した次第です。
発言に事実と異なる誇張があった点を、お詫びして訂正させていただきます。
なお、民間事業者などによる違反に対し、直ちに罰則を課すようにしなかった理由、背景については、同法の制定に携わったわけではない私には、残念ながらわかりません。
「問題を後押しする為に私たちにできること」についてですが、例えばアクセシビリティに紐づく社会的課題の解決に熱心だったり、それに関する活動に積極的な政党なり政治家を応援することがあると思います。

(回答者:木達さん)

ご質問7

現場の人ではなく決裁権のある人向けのセミナーなどやる予定はありますか?

ご回答

ご意見いただきありがとうございます。今後、検討させていただければと思います。

(回答者:板垣)